<国を興し会社を興す人。国をつぶし会社をつぶす人>

松下さんが名古屋JC(二代目だけが集まり経営の練習をするサークル)の大会で講演の終わりの方で次のような体験談を語っている。
ある代理店の社長に「お宅にはお宅の会社をつぶそうとしている人がいるから、もう取引をすることをやめる」と言ったそうだ。言われた社長はビックリし「そんな無茶な、そんな人間はいませんよ、誰のことですか、そんなのがいればすぐに辞めさせます。誰かを教えください」と言うので、「それはあんたの息子さんや」 と言ったそうだ。
「そんなことはあり得ないが、それを息子に伝えてよく言い聞かせます」と言ったらしい。
それに対しては「それではあかん、そんなことでは良くならない。もしよかったらうちの会社で預かりますよ。」ということで二年間預かったらまともな人間になったと言っている。
要は、回りの番頭などが、ちやほやして、ケガをさせないように、させないように、と支えるために真の体験を持たない人間に育ってしまい、本人自身にはその自覚が全く無いのだ。その講演の最後に松下さんは次のように言って講演の結びにしている。
「国でも会社でも、それを興す人とつぶす人がいる。熱意のある人は国を興し会社を興す。しかし同時に熱意のある人は国を滅ぼし会社もつぶす、つぶしも興しもしない人もいる、これは熱意の不足した人だ。  成功するか失敗するかの違いは、ほんの紙一重の差でうまれる。
私心が有るか無いかだ。ご自分で自問自答して、自分は興す人間か、つぶす人間かを考えて、もしそれでも分からなかったら、私のところへ来なさい。教えてあげます」、と言って帰って行った。これが松下さんの指導方法なのだが、松下さんが一番大事にした「素直な心」や人間観をもっと詳しく語らないといけないが、それは、もし要望があれば次の機会にさせていただく。
<lリーダーの条件>
①成功体験と失敗体験を味わった人
②私心の無い人。公の心(感謝報恩の心)を持つ人
③運の強い人。(失敗理由を他責にしない自責の人)