<重役になる方法(運が強くなる方法)教えます>

 

 ホテルプラザの若い人たちに受け身の体験でなく、作る体験を教えているが、昭和30年代に、松下さんは、いくつもの大学で講演をしている。そしてそれぞれの大学から博士号の称号をもらっている。そうした際には「運が強くなる方法」をいつも話していた。昭和37年に東北大学の学生に話したものの一部を紹介しよう。                

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 最初に「皆さんは私のお客様だ」なぜなら、ラジオやテープレコーダ―や様々な電気製品を買ってくださっているからだ、と話したうえで「皆さんに必ず重役になる方法を教えてあげましょう。重役になれなくても部長は間違いない」、と話しかけて聴衆の心をまずつかんでいる。         

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「まずは皆さんがめでたく会社に入った、その時が大事です。下宿に帰れば、まず下宿のおばさんに“今日入った会社は良い会社だ、入れてよかった”。“社長もよさそうな人だし上司も良い人だ”、と言いなさい。そしたら“そんな馬鹿な話はない”とは言われない。

“それは良かったね” と言って喜んでくれる。

 ご両親にも言いなさい、親戚や友人や学校の先生にも言いなさい。みんな“そうか、お前がそれほど言うなら良い会社なんだろう、そこはどんなものを作ってるんだ、一度買ってやろう”と言ってくれる。

 あなたの言動で会社の売り上げはどんどん上がることになる。とは言っても「いやなこと」や「おかしい」と思うことも出てくるでしょう。そういう時には機会を捕まえて社長に言いなさい。ただしその言い方が大事です。“こんな会社あきませんわ”、などと言ったらだめです。社長でも怒ります。

「この会社は大変良い会社だと私は思っているのですが、こういう点だけがちょっとまずいと思い、友人にも相談したら、“それはちょっとまずいな”と言うんです。これについてはどう考えればいいでしょう、と優しく言ってあげなさい。

 そしたら“君なかなか良いことを言うね、気がついてくれてありがとう”、“また何かあれば言ってくれ”と言われるでょう。

こういう人を重役にしなければ、他に誰があります。重役にする人は他にいないでしょう。」

 

次に私と山下社長の運について紹介しましょう。