北海道旭川地区・大雪山中心に―9月21日から26日。
今回の北海道旅行は、日本一早い紅葉と言われている大雪山旭岳の紅葉を見ることが目的だ。
中高年対象の「いきいき」という雑誌で田部井淳子さんが足の弱い人も簡単にいける名山として大雪山の旭岳をあげていた。
27000円の赤札北海道というのに申し込む。ツアーなので一日はホテルを利用することになっていて,それが料金に含まれている。
一日目は姉のところに行き、土産を渡して、翌日の旭川行きの特急バスの始発に乗るために、札幌駅に近いホテルに泊ることにする。
天気は22日は良くてその日の午後から悪くなると言つている。天気が悪ければその日は泊まらず近辺のユース(イルムの丘か塩狩温泉というユース)に泊まり、もう一度挑戦したいと思っていた。本当は大雪山白樺荘というユースが旭岳の登山口,ロープウェー乗場近くに在るので、そこが便利だが,23日は満員で断られ,24日を予約してある。
旭岳は一昨日の新聞の一面で初冠雪が報じられていた。旭岳にバスが近づくと雪が残っているのが見える。今日は天気がよくないはずだが,稜線がよくみえる。大型ロープウェーに乗って上がると旭岳の新雪が美しい。
正面の旭岳の下の池にまっすぐ近かづくのでなく、旭岳を時計回りにグルっと回るコースにも小さな池がいくつもあり、なかには旭岳が写っている。熊ケ岳,当麻岳,愛別岳といったところを通って降りていくコースだ。たくさんのカメラマンがカメラを構えて太陽の光がうまく差し込むのを待っていた。今年はいつもより綺麗ではないと文句を言う人もいたが,いつもの紅葉を知らない私には感動だつた。
今回は中国製のリュックで来たが、肩をかけるところがきれてしまった。このままでは重い。食糧も余分に持っている。「綱を張ってあるところには入るな」、と書いてあるが,少し入って大きな岩の後ろにリュックを隠して身軽になる。
道が段々ぬかるむ。向うから来る人に、“どこから来られたのですか”と聞くと、“黒岳に行きたかったが、霧が出て視界が悪いので引き帰してきたんだ”、と言う。カメラを構えていた人に、“どこまでもこんな景色か”と聞くと、ぐるっと回って反対側に出れば,旭岳をバックにした良い景色があると言う。紅葉は旭岳を回った湿地帯,沼の平のあたりだと言われた。ナナカマドの赤い実、チングルマノ白い胞子と赤く紅葉した葉っぱが美しい。この先に川があって紅葉が綺麗だとも言われる。川に出たがその先が分からない。道が消えており,100mほど先が絶壁のように落ち込んでいる感じがする。危ないかもしれないと思い引き返す。すでに何度か足をすべらせて倒れているためズボンはドロドロだ。私の姿を見て“だいぶ先に行きましたね”と言われた。しかしそこが当麻乗り越しの手前で,もう100m行けば、下がみおろせて紅葉が綺麗だったらしい。こっちはリュックの場所がわからなくなるのが心配で折り帰してしまった。昨日から泊まっている人によると,昨日は霧と雪でなにも見えなかったらしい。旭岳の雪化粧も雨で少し溶けたようだが見事だ。
黒岳から歩いて来た人に聞くと、“今日旭岳から登った人は幸運だ,昨日はガスと雪だったし、今日も黒岳は雨と霧で何も見えなかった”と言っていた。
「姿見の池」は銀座のように混みあっていたので見ていなかったが,必見と言う人が多いので見にいくことにする。そのためにぐるっと回ったので、ロープウエー乗場で一台乗りそこなった。その結果、、四時前にあったバスにも乗りそこなう。4時のバスは旭岳に来ずに天人峡からのバスである。今から降りてもバスは5時10分までないと言われる。とにかく午後から雨という天気が回復し,晴れてきたのでどこも宿舎は一杯だ。一旦山を下りて旭川まで出て北に上ったところにある塩狩温泉というユースに泊まることにする。三浦綾子の「塩狩峠」という小説で有名な場所だが各駅しか止まらない。それが二時間後の17時20分しかない。これが最終で,着いたら九時20分だ。無人駅で真っ暗で何も見えない。携帯で電話をしておいたら懐中電灯を持って迎えに来てくれていた。この宿も10月で閉館だそうだ。せっかく来たので朝早く散歩をしたいと言うと、熊が出るから鈴を貸すので身につけろ、と言われる。近くに三浦綾子の雑貨屋をしていた頃の家があった。小説の舞台、塩苅峠は目の前で記念碑もあった。こうした原野のようなところに三浦綾子は住んでいたのだ。昔は漆の産地であったので、漆に負けた人がここの温泉を利用していたため,この近辺だけでも25軒はあったそうだ。明日は7時半から朝食と言われていたので7時に戻り、38分の電車に乗る、と言うと驚いていた。実際に三分でご飯のお変わりまでして飛び出したら驚いていた。
ここから旭川経由で上川まで行き,バスで35分ほどで早雲峡につく。ロープウェーで五合目に行き、そこからリフトで七合目までいける。下で切符を買うとき、“リフトの下を歩いて上がるので片道でい い”と言うと、どんな靴だ、岩場が多くて無理だと言われる。しかたなく切符は往復で買う。実際の話し,帰りは雨が土砂降りだったのでリフトで正解だった。乗った時間はあっという間だが,歩いていたらぬかるみ道でひどい目に合ってただろう。
やがて黒岳の頂上が見えて美しく紅葉している。七合目からはどんどん前の人を追い抜いた。しかし八合目までは遠かった。九合目から天気は急に崩れだした。ガスが出て来た。女心と秋の空とはこのことだ。頂上に上がったら風が強く何も見えない。そこにいると旭岳から歩いてきた人達と出会った。旭岳も含めて、ここまで何も見えなかったらしい。風は30mほど吹いていたと言う。1980mの標識で写真を撮ってもらう。雨も降っていたが我慢していたら急にガスが消えて、登ってきた反対の斜面の眺望が開けた。深赤の紅葉と万年雪の雪渓にかこまれた石室がみえる。何枚も写真を撮り,これを見れただけでも生きてきた甲斐があったと感じる。雨が降り始めたので滅多に人はあがって来ない。下は相当降っているらしい。夫婦連れが上がってきたので、“石室の紅葉がすごいですよ”と言うと、“夏のお花畑は天国だ”と言う。奥さんが“今は秋だ、あんたは夏のことを言わなくてよい、春はあけぼで冬は雪でいい”、と枕草子のようなことを言っていた。
【余談ながら大雪山から積丹に飛ぶ】
紅葉の大雪を見た三年後の四月の21日に富良野の美瑛・美馬牛へ出かけたことがある。ところがなにも花は咲いておらず広い畑もまだ耕していなかった。
まったく違う世界に来た感じがして、そのまま帰るのもしゃくなので、旭川に出て三年前に感動した黒岳に行こうと考えた。行ってから分ったのだが、次の日が大雪山黒岳の山開きの日であった。河原には昨日までやっていた「氷瀑祭り」の残骸が残っていたが、だれも観光客はいなかった。何人かに安く泊まれるところはないかと聞くと、マンションを使って民宿をしているところがすぐ近くにあると分かった。行くと地下二階に風呂があるから勝手に入ってくれ、と言われて最低素料金で泊めてくれた。
そこは全くのマンションで客室は二回にあり、ツインできれいな部屋だった。
四時半頃に起きると既に明るい。遊歩道にでると「氷瀑祭り」ということで川原に材木で網を組み上げてそこに水をかけて大きなツララの滝をつくってある。もう今日はその解体の日だった。
遊歩道を20分程歩くと流星の滝、銀河の滝、雲井の滝が並んだところに出る。しかし下からでは良く見えない。
山に上がっていくと黒岳(1983m)がホテルの上に飛び出して聳えているのが良く見える。後ろの展望台に登ると二つの滝が良く見えた。
下に降りて、歩いて帰る。ロープウエーは7時発と思っていたら八時発だった。それにしてもきれいなマンションで良い宿だった。
八時のロープウェーに一緒に上がる人が一人だけいた。元営林省にいて定年退職し七合目の山小屋の仕事を手伝つっている人だ。ロープウエーの事務所の人は五合目までロープウエーは行くが、その上はスキー客専用のリフトになっているので乗せられない、と言った。しかし山小屋に行くその人は七号目に上がれば景色が全然違う、ここで雪靴とストックを500円で借りたらリフトに乗せてくれると教えてくれた。そこで荷物は預けて、それらを借りて一緒にリフトで上がることにする。ここまで来てロープウエーに乗るだけで1500円払うのはもったいない。それでは大阪からここまで何をしに来たのか分からない。
昨日は旭川で27度という真夏日になり温度が上がりすぎて山も少しかすんでいたらしいが、今日は雲一つない快晴だ。七合目からは長靴の上にカンジキをつけて登る。今年の雪は1mもないが、いつもなら2mはあるそうた。七合目の山小屋周辺を散策して五合目まで歩いて降り、9時のロープウエーで下まで降りる。
ロープウエー乗り場からの次のバスは10時55分までない。一時間以上時間があるので途中の清川というとこに水芭蕉が群生している、と聞いていたので歩くことにする。歩いてみると、どこにも集落が無くバスの駅もない。電話で道北バスに問い合わせたら清川には11時6分に止まるというのでそこまで歩くつもりだったがヒッチハイクできる車がこない。
10台目ぐらいでやっと止ってくれたので上川まで乗せて欲しい、出来たら途中の清川の水芭蕉を見たいのでそこでおろしてくれれば幸いだとたのむ。その人は59歳で熱処理のためにつ何処かのホテルに来て仕事が終って暇だから自分も水芭蕉を見る、と言って案内してくれて、結局旭川まで乗せてもらった。
旭川からは2000円払って中央バスに乗る。札幌に二時に着いてしまい、そのまま姉のとこに行ってもしかたが無いので姉にご馳走の準備をさせてはいけないので電話で、「今晩はそちらに泊めてもらうつもりだったがこれから小樽に行く。今日は良い天気だが明日の天気は雨らしい。雨が降ると積丹に行く気がしないと思うので、今日中に積丹に入ってしまう。そのためにまずは電車で小樽まで行くと伝えた。小樽の次の塩屋で降りて塩屋丸山というちょっとした小山に登る。次に小樽のバスターミナルでカムイ岬にゆくバスがまだあるか、と聞くと「もう終った」といわれた。しかし乗ったバスが余別行きで余市を通るのでニッカウヰスキーの工場にいけば絵になる写真がとれるだろうと考える。調べてみたらニッカ以外に観光スポットとして恵比須、大黒岩と蝋燭岩があることが分かり、そこに近い民宿「くどう」に泊まることにする。素泊まりで3500円と安かったからだ。そこは豊浜町(町といっても二軒しか家がない)で、その前が海というのも良かった。ニッカウィスキーは五時までで、着いたのが四時半だから、ちょうど北海道らしい工場の上にかかった夕焼けも撮れた。
豊浜はトンネル二つ越えたところで続いてまた2つトンネルがありネコの額ほどの狭い浜だ。宿について“貸してもらえる自転車はないですか”と聞いた。無いと言われたが、“どこかで借りてくれ”とたのんだら倉庫から娘の自転車を引っ張り出してくれた。タイヤは二つともぺしゃんこで空気入れも壊れている。自転車には気の毒だが無理して乗ることにする。二キロ以上の長いトンネルだ。翌朝はその反対側にこれは三キロほどある二つのトンネルを走った。
自転車のおかげで、暗くなっていたがよい写真が撮れた。恵比須岩は侵蝕され立っているのが不思議な形だ。宿に帰ると倉庫でおばあさんが魚をさばいていた。素泊まりの客だというと、この魚を食べてくれ。味噌汁ぐらい飲んでもらう、と言ってくれる。私は余市の「ひまわり」という食堂で鶏カレー・スープとご飯を晩飯に、冷凍牛丼を朝食用に買ってあった。おかげで素泊まりなのにおいしい夕食になった。夕食後春子バアチャンと話をする。ここで生れ漁師の夫と結婚し、ゼロから苦労し長男は余市の中学と高校をでて北大、そして三菱銀行で東京にいるらしい。次男はこの浜で漁師と民宿をしていて亡くなったらしい。いろいろ苦労話も聞かされた。
趣味として稚貝の殻を集めているらしい。これは春しか採れないもので、それを集めて、お客さんにもらったチョコレートの箱にきれいにいれている。下に白いクッションを敷いて砂浜のようだ。大きな風呂敷に五つほどの箱を入れて持ってきてくれた。こかしたら終わりだ。これは写真にとって額に入れるようにすれば商品になる、カットグラスにはりつけるのもよいとアドバスし、写真に撮ったのを送ってあげる約束をする。
次の日は四時起きで自転車で走り、トンネルを越えた小さな集落でおばあさんから水仙をたくさんもらう。それは春子バアチャンにわたした。一番のバスで一時間かけてカムイ岬に行く。乗ってきたバスは40分待ってくれているが、慌てて帰るのはもったいない。いつもバタバタしてちゃんと写真をとってなかったが三年ぶりできたのでゆっくりとする。
それにしても風と雨である。運転手が忘れがさをくれた。
私としては、ここから島武意海岸にも行きたかった。しかし、そこまてはバスで10分の20キロほどはあるので歩いてはいけない。ヒッチハイクのつもりでいたが車がまったく来ない。
そこから歩き出して5台ほど断られ、やっと止ってくれた車には三人乗っていた。食品関係の公益法人でコンサルタントが案内していて、これから小樽に帰る途中だった。コンサルタントは小樽の人で、島武意は渚100選にもはいってるよい景色のところ、我々も行きましょう、といって乗せてくれた。昼食も本当はウニ丼を食べようとしたがまだ季節としてやってないの美国でワカメ蕎麦を一緒に食べ、食品の店(燻製屋、と、あわび最中の店)を回った。
車の中では私も色んな経営のやり方をやフォーラム(講演会)の話をして喜んでもらった。ところで、ここまでどうやって来たのかと聞かれたので、“昨日は大雪山黒岳の七合目にいた”と言うと“スーパーマンのように空を飛んできたのか”と驚かれる。“私の旅のほとんどがヒッチハイクだ”と言うと驚いていた。
小樽からは高速バスで丸山公園の鳥居の近くを通るので、義兄にむかえにきてもらい北海道神宮に案内してもらった。ここのソメイヨシノで札幌の開花宣言を決めているそうだが満開だった。翌朝は団体用の決められた飛行機に乗らないといけない。飛行機が千歳空港を12時に出発するので札幌駅前からのシャトルバスに10時過ぎに乗らないといけない。それまでのあいだ、義兄に北大、道庁、三岸美術館、知事公舎、博物館、植物園、時計台をまわってもらった。北海道では梅とこぶしとモクレンとつつじと桜が一斉に咲く。北海道の春は一週間だそうだ。現に昨日は風が強かったので先に咲いた桜はかなり散っていた。駅前の全日空ビル前からバスで千歳空港に向かった。
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